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建築工事請負契約のポイントHEADLINE

建築工事請負契約のトラブル

建築工事請負契約の締結時のトラブルについて考えてみましょう。

土地等の不動産を購入して建物を建築する際に建築施工業者と交わすのが「建築工事請負契約書」になります。
この建築工事請負契約書にトラブルが多く発生しています。
なぜ?このようなトラブルが多く発生するのか?

請負契約に係るトラブルの要因を見てみましょう。

請負契約締結において多く見られるトラブル事例としては・・・
@請負契約で締結した内容と違う家ができている。
A請負契約を先行して締結したが、建築物の内容・予算が大きく変わってきたので解約したい。
B請負契約で約束した建築工事期間を過ぎて建物が完成したが、請負金額通りの請求をされている。

大きくこれらの事例が相談として寄せられるています。

建築士から見た請負契約のポイント!

一般的に、建築工事を施工業者やハウスメーカーに依頼する際に、建築工事請負契約書を締結しますが、しっかりとした請負契約を締結するためのポイントを考えてみましょう。

もっとも、わかりやすく考えるなら、「どのような家を、いくらで、何時までに建ててもらうのか?」
この言葉が、しっかりとした請負契約を締結するための基本となってきます。
今回は、建築士からみた請負契約締結時のポイントを考えてみます。

住宅づくりの変化を考える!

建築業者との請負工事契約の中には、住宅建築時とビル等の建築時が考えられます。
それぞれの規模や施主・発注者に応じて建築工事請負契約の状況が異なりますが、今回は、より一般的な住宅建築時の請負契約について、建築士として注意すべきポイントを見ていきましょう。


建築(施工業者)の契約は、日本古来からの棟梁がいて、『棟梁の頼めば問題ない』という信頼関係で成り立った時代から『大工さんに頼めば大丈夫である』という歴史が日本の住宅作りにはありました。
近所の工務店・大工さんが一般的であり、普段のお付き合いから人柄や仕事ぶりなど、まさに職人として矜持をもって大工と言う職業が全盛だったころ、住宅の建築で悩むことなどあまり無かったかも知れません。

木材をいくつも並べて、在来工法で「トンカン・トンカン」!
顔見知りであり、ご近所のこのような大工さんに「家」を任せておけば何ら心配ない時代でした。

ところが、工業技術の発達から、家づくりは激変してきます。
在来工法で作っていた家の多くの部品は、あらかじめ工場で作成され、現場で組み立てるだけ!
更に、在来工法以外に2×4工法や軽量鉄骨等様々な工法による家づくりが、ハウスメーカーと共に押し寄せてきて、いわゆる職人の大工さんたちは、徐々に姿を消していきます。

このような背景から、家づくりは専門の職人さんの世界から、工場で部品を生産し、現場で組み上げる方式へと変貌してきたのです。

そこで新たな問題が出てきます!

それは、どのように組み立てるのか?と言ったことです。過去からの在来工法による木造住宅においても、どのように組み立てるのか?といった設計図書なくしては組み立てられないようになっています。


請負契約締結時に確認すべき見積書・仕様書!

新築工事の契約でトラブルの多くは、図面としては平面図のみと、見積書としては各工事一式記載の1枚のみで請負契約締結しているケースがほとんどです。

例えば、車を購入する時は、パンフレットと大まかなスペックと見本車を見て判断し購入することもあるでしょう!しかし、工場ですべてが作成される自動車であれば、一台ごとに作成上の差が発生しないでしょうから、さほど問題は少ないでしょう。(それでもモデルチェンジの初期生産には、トラブルが多く発生すると言われていますが・・・)

しかし、住宅の場合はそうではありません。
いくつもの専門業者が集まって、工場ラインではない形で物作りをするのですから、各部材の選定、取付方法、仕上げ具合は、全て手作業に近い形で作られるのです。
ですから、図面1枚、見積書1枚で、家一棟が施主(依頼者)の思う通りの建物やトラブルのない家が出来るとは思えません。もし、その様な形でうまく出来上がった建物なら、奇跡に近いです。

この様な事から、見積書1枚で工事の内容や判断は、作り手側に委ねられているのが、現状です。

この事が、そもそも問題です。

今の世の中に各一つの事柄でも材料、メーカー、サブコン、ゼネコン、ハウスメーカー、リフォーム会社、商社等々、様々な会社があり多岐に渡り独自の商品を開発して消費者にPR活動を繰り広げています。

これから施工する家には、どのような材料・部材をどのくらいの数量を使用するのか?
材料と数量が明記されていない見積もりとは何を根拠に作成した見積書なのでしょうか?

また、必要な材料・部材と数量を拾い上げた図面とは?
どの図面から必要な材料・部材、数量を拾い上げたのでしょうか?
これらが、明記されていない見積書に、何の意味があるのでしょうか?
請負契約書に添付すべき図面とその見積書は、できる限り使用部材・材料・数量・寸法・単位を明記すべきです。

これらの数量等が明記された見積書が添付されていない請負契約書は、何を、どれだけ使って建てると約束していない請負契約書です。

このような場合の反論として施工側から言われるのが、「標準仕様」という言葉です。
この「標準仕様」は注文住宅建築時によく聞かれると思いますが、これが大変曖昧な言葉です!

前述した請負契約に添付すべき見積書に「標準仕様:一式」とあったら、この標準仕様の中身を十分に確認しましょう。施主・注文者であるあなたは、この標準仕様を知りません。何が標準仕様なのか?
どのような材料・部材をどのくらい使用し、どのような状態になるのか?
標準仕様という言葉に騙されてはいけません。


特に、設計者、施工者が一体化になっているケース、いわゆる設計施工は、要注意です。
更に、施工者が設計者を牛耳っているケースは、もっと要注意です。(最近のトラブル事例は、施工業者が設計者を紹介しているケースもありますが、この設計者は施工業者よりの発想である場合は危険水準です。)

上記の場合は、セカンドオピニオンのような資格を持つ第三者を入れる事も必要だと思います。
この様に、新築はもちろん設計士を入れてチェックをしてもらわなければ、“請負契約が出来ない”というぐらいの法整備も必要だと思われます。


図面・仕様書について

「住宅を作るケース」と「ビルを作るケース」がありますが、今回は「住宅を作るケース」について説明します。

よく見受けられるケースは、図面・仕様書といって、平面図・立面図・仕上表程度を住宅設備メーカーの施工図を仕様書と証し、しっかりと設計料を取る業者が見受けられます。

図面とは、下記(※)のような図面があります。
住宅設計の場合、設備図が無かったり、電気図と証して、コンセント・スイッチ・照明器具の位置が分かるプロット図程度を電気設備図として、ぬけぬけと提出しています。
線で結び、太さ等が記入しているものが、本来の電気設備図面です。

電気設備図面を疎かにすると将来のリフォームトラブル等が生じた場合、高額なリフォームにつながります。
この様に図面が不十分で仕様書がないケースがほとんどです。
仕様書は「国土交通省大臣官房官庁営繕部監修 建築工事共通仕様書」冊誌であり、一住戸ごとには、「特記仕様書」と証し、各工事ごとに記入するものが、仕様書です。
設計者が入れば、当然出てくるものです。
建売メーカー、ハウスメーカー等は、提出しないケースが多いです。

※【図面一覧】

1.敷地案内図     6.平面図       11.展開図
2.配置図       7.立面図       12.天井伏図
3.面積表       8.断面図       13.建具図
4.仕上表       9.矩計図        14.雑詳細図
5.特記仕様書    10. 各階平面詳細図   15.外溝図  

構造図・設備図・電気図は別紙参照


リフォーム工事の請負契約にもトラブルはあります!

リフォーム工事の請負契約においてもトラブルの種が潜んでいます。
最近では、インターネットを介して多くの住宅設備や部材が一般の方にも購入可能になっており、簡単に様々な部材や材料が入手可能です。
その中から施主(消費者)側は、にわか仕込みで勉強してプロに依頼せず、自分で直接依頼しているのが現状であり、これは非常に危険な行動になり、トラブルの原因になる可能性が高いと思います。

ペンキの塗替えぐらい、屋根の葺替えぐらい、流し台の取替えぐらいなどの全て施主(消費者)側が独自にメーカーを選定し、色、仕様を決めて発注している。
この様な流れで、良い業者に当たれば低価でうまくいくかもしれませんが、それが長期的判断を加味した判断ではない可能性が高いと思います。

改修・リフォームこそ値段に関係なく施工者との直接の請負契約は危険を伴います。

ですから、設計事務所(設計・監理者の専業者)などの建築士に入ってもらい、図面・色・仕様等をコントロールしてもらう事が、建物の長寿命化を施し、トラブルのない家づくりが出来ると思います。




建築トラブル・住宅トラブルを避けるために!

請負契約は金額的にも高額であり、不動産購入時と同等の覚悟・判断が求められるものだと思うが、その請負契約締結のプロセスにおいては、「消費者保護」と言った観点はあまり考慮されているとは思えないのが現状です。

不動産の契約においては、重要事項の説明や契約内容の説明が不動産業者には課せられているが、請負契約にはそのようなプロセスはありません。
ついつい、簡単に契約を締結しがちですが、そのあとのトラブルは簡単に解決できないのが現実です。
請負契約締結前に、これだけのポイントがあります。

建築トラブル・住宅トラブルを回避するための方法として、請負契約の契約締結まえにじっくり考えてみてください。

住宅建築の際のセカンドオピニオンを実施しています。

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