新築工事の契約でトラブルの多くは、図面としては平面図のみと、見積書としては各工事一式記載の1枚のみで請負契約締結しているケースがほとんどです。
例えば、車を購入する時は、パンフレットと大まかなスペックと見本車を見て判断し購入することもあるでしょう!しかし、工場ですべてが作成される自動車であれば、一台ごとに作成上の差が発生しないでしょうから、さほど問題は少ないでしょう。(それでもモデルチェンジの初期生産には、トラブルが多く発生すると言われていますが・・・)
しかし、住宅の場合はそうではありません。
いくつもの専門業者が集まって、工場ラインではない形で物作りをするのですから、各部材の選定、取付方法、仕上げ具合は、全て手作業に近い形で作られるのです。
ですから、図面1枚、見積書1枚で、家一棟が施主(依頼者)の思う通りの建物やトラブルのない家が出来るとは思えません。もし、その様な形でうまく出来上がった建物なら、奇跡に近いです。
この様な事から、見積書1枚で工事の内容や判断は、作り手側に委ねられているのが、現状です。
この事が、そもそも問題です。
今の世の中に各一つの事柄でも材料、メーカー、サブコン、ゼネコン、ハウスメーカー、リフォーム会社、商社等々、様々な会社があり多岐に渡り独自の商品を開発して消費者にPR活動を繰り広げています。
これから施工する家には、どのような材料・部材をどのくらいの数量を使用するのか?
材料と数量が明記されていない見積もりとは何を根拠に作成した見積書なのでしょうか?
また、必要な材料・部材と数量を拾い上げた図面とは?
どの図面から必要な材料・部材、数量を拾い上げたのでしょうか?
これらが、明記されていない見積書に、何の意味があるのでしょうか?
請負契約書に添付すべき図面とその見積書は、できる限り使用部材・材料・数量・寸法・単位を明記すべきです。
これらの数量等が明記された見積書が添付されていない請負契約書は、何を、どれだけ使って建てると約束していない請負契約書です。
このような場合の反論として施工側から言われるのが、「標準仕様」という言葉です。
この「標準仕様」は注文住宅建築時によく聞かれると思いますが、これが大変曖昧な言葉です!
前述した請負契約に添付すべき見積書に「標準仕様:一式」とあったら、この標準仕様の中身を十分に確認しましょう。施主・注文者であるあなたは、この標準仕様を知りません。何が標準仕様なのか?
どのような材料・部材をどのくらい使用し、どのような状態になるのか?
標準仕様という言葉に騙されてはいけません。
特に、設計者、施工者が一体化になっているケース、いわゆる設計施工は、要注意です。
更に、施工者が設計者を牛耳っているケースは、もっと要注意です。(最近のトラブル事例は、施工業者が設計者を紹介しているケースもありますが、この設計者は施工業者よりの発想である場合は危険水準です。)
上記の場合は、セカンドオピニオンのような資格を持つ第三者を入れる事も必要だと思います。
この様に、新築はもちろん設計士を入れてチェックをしてもらわなければ、“請負契約が出来ない”というぐらいの法整備も必要だと思われます。